【2020年4月号】
今月の青木氏連載は「写真館はこのコロナ禍をどう乗り越えていくべきか」を論じています。「不要不急な外出」にジャンル分けされてしまいがちな写真館・フォトグラファーが「今」できることとは何でしょうか。

「写真館と数字」コーナーでは、中小企業のキャッシュレス導入について調査してみました。
ぜひご一読ください。

 
【青木水理氏連載 第3回 コロナで生き残るためのフォトスタジオ戦略】

前回のメルマガからまた1か月経ち、新型コロナウイルスの影響はさらに悪化しています。
緊急事態宣言が出され、お店を閉めた方、撮影を中止された方、全面テレワークに切り替えた方は多いと思います。
今まで「緊急事態宣言・政府から要請が出ない限りは」お店を開けるとしていた方も、今回ばかりは苦渋の決断で閉めたのではないでしょうか。

弊社が運営する東京のフォトスタジオも、妊婦さんや赤ちゃん専門のスタジオのため、3月は一斉休校のタイミングで1週間、自粛要請を受けた3/26から無期限休業に入っています。
弊社はスタッフがほとんどが子供がおりますので、少し早めの自粛体勢に入りました。私も12歳、7歳、1歳の3人の子供と一緒に、ほとんど家から出ず仕事をしています。

緊急事態宣言から、日本は確実に「全国民で命を守る」フェーズに変わりました。
それでもお店によっては「国民全体で早くウイルスを終息させて経済を早く復活させよう」「とにかく感染を抑えるために徹底的に自粛しよう」という、日本が一致団結しないといけない場面にもかかわらず、政府の対応が後手後手で、経営破綻でコロナより先に死んでしまう可能性がある以上お店を開け続けなければいけないという状況があるかと思います。

ただ、明日を継続させるために無理をしてお店を開け続けてもし感染者が出た時にはその時点でお店自体が飛ぶ可能性があるので、完全にハイリスクの博打営業になる可能性があります。
緊急事態宣言が出されていても営業を続けられるのは、超大手か、根強いファンがいて宣伝を打たなくても撮影ができるお店くらいでしょうか。
スタッフが多くいるお店はスタッフの不信感も募ります。
コロナが収束した後、経営を続けていくためには、先を見ての経営判断が求められているの
です。

いま、お店の経営者に求められていることは、徹底的な相手目線です。

・外部、内部の不信感を作らない
・マスメディアの情報に振り回されすぎないようにしつつ、世間の空気感はみておく
・ターゲットとしているお客さまの今の状況や心境を把握した戦略を打つ

私が保守的な考えなのには、赤ちゃんの撮影をしているからというのがとても大きいです。
ママフォトグラファーさんや、ママをお客さまとしているお店の方は存分にご理解いただけるかと思います。
近年ブームのニューボーンフォトはただでさえハイリスク撮影なのでしばらくは大々的な宣伝は難しいでしょう。
私が⾧くいるベビー業界は特に公益性が重要で飲食店でOK だった
「買って応援」「お店に行って経済を回そう」「お客さまのためにと銘打ってお店で行うイベント系」はコロナ騒動が始まった初期から軒並み叩かれやすい傾向にありました。
(やるなら無償に近いものじゃないと厳しく、クラファンもたぶん厳しいです。子供がいる消費者は買い控えが始まり守りの体制に入ります。ただし産後うつ、DV、保育などの緊急性を要するもの以外は別です)

そして、産後のママは有事でなくても常に「赤ちゃんの命を守る」方に完全にベクトルが向いているので、とにかく危険に晒すわけにはいきませんから、お店都合の開店やキャンペーンは今後のお客さまとの信頼関係に強く影響します。

フォトスタジオは世間的に見ると悲しいながら不要不急であり、それでも家賃が払えないからとイベントやキャンペーンをうって無理やりお店を開け続けたら「子供の命より自分の経営が大事なのか」という非難を浴びるのは目に見えています。
(実際お客さまからそう言われているお店を最近ちらほら見るようになりました)

とはいえ、家族写真は全く不要不急ではありません。
それだけは絶対に業界の理念として持ち続けていたいところです。
写真によって救われる方はたくさんいます。
あり方を捨てるのではなく、やり方を変えていく事に全力を尽くします。
今は、ただただひたすらママに共感、ママに寄り添う戦略でないとコロナ収束後に生き残れないと感じています。

弊社は早々にお店を閉めましたが早くお店を閉めることのメリットは、経営リスクを負う代わりにもちろんお客さまとスタッフの命を守ることが一番にできますが風評被害リスク(万が一どこかのスタジオで感染者が出てもうちが早々に閉めていたらその渦には巻き込まれにくい)からも守ることができますし経営理念を貫き通す姿勢を行動で見せることで《お客さまの信頼を壊さない》という一種のブランディングができるチャンスでもあります。

弊社も、いまは家にいて出来る

・写真の撮り方
・衣装レンタル
・写真合成サービス
・ギフト券の販売

など、新たな活路を見出し、またお客さまとのコミュニケーションを絶やさず、何とか信頼と関係性を継続させながらギリギリ生きながらえていきたいと思います。

家族の思い出を作る。
大事な瞬間を写真に残す。
それは、命あってのことです。
それは、行動で示さないと偽善になってしまいます。
経済ダメージは本当に本当につらいところですが…

この業界を守るためにも、皆で乗り越えていきたいですね。

 
青木 水理

【プロフィール】
長男の誕生以来、おひるねアートを趣味で撮り始めブログがママたちから高い支持を受け、ブログ開設後わずか4ヶ月で初の写真集「赤ちゃんのおひるねアート」を主婦の友社より出版したことをきっかけに、TVCMや雑誌広告の作品制作を手がけるなど数々の分野で活躍する。
2013年10月に『一般社団法人日本おひるねアート協会』を設立。「おひるねアートで世界中のママと赤ちゃんに笑顔を届けること」を使命に、おひるねアートを広げる活動として、認定講師の育成や、企業への作品提供などを行う。
2015年4月におひるねアート専門のフォトスタジオ「STORY」をOPEN(東京・水天宮)
スタジオセット、おひるねアートの全面プロデュースを行うほか、自身も指名制でのみ撮影を請け負う。
また、当初より子連れで仕事を行うスタイルを貫き、現在も子連れ出勤を実践。「赤ちゃんと一緒に働ける」環境の提案にも力を入れている。

 
【写真館と数字分析:キャッシュレスはどこまで浸透したのか】

2019年3月号のLNWメルマガの本コーナーで「
キャッシュレス化の波は写真業界にもとどくのか?」という記事を掲載しました。あれから一年経ち、まもなくキャッシュレス・ポイント還元事業が終了します。今回はフランチャイズチェーン店やコンビニなどを除いた中小企業にフォーカスして調査してみました。
まずは都道府県別の分布です。
2020年4月1日時点の加盟店登録申請数は約112万店、加盟店登録数は約108万店となります。そのうち、
約98万店が中小・小規模事業者と、大多数を占めています。


上の図のとおり、人口1人当たりの加盟店数を都道府県別でみると東京、石川、京都、福井の順で大きくなっています。
石川県が第2位、福井県が第4位、富山県は第6位と北陸エリアが「キャッシュレス先進地」であることはご存知でしたか?
たとえば、福井県では2017年から県と市町が導入費用の3分の2(最大8万円)を補助する制度を実施していました。国は2019年度から導入への補助を実施しているため、それよりも早くからキャッシュレスの重要性を認知したことが普及した要因のひとつと言えるでしょう。
また、国内有数の観光地である石川県金沢市の金沢商工会議所では2019年春から地域の企業・店舗向けの無料セミナーを実施し、2019年10月の消費税増税に間に合うように早期の導入を呼びかけるなどの取り組みをおこなってきました。
本メルマガを購読されている北陸エリアの写真館様の中も、すでにキャッシュレス決済を導入されている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。


次に、実際にキャッシュレス決済を導入し、国の「キャッシュレス・ポイント還元事業」に参加した店舗の【現場の声】を加盟希望店向けの資料からまとめてみました。

【1】北海道:スポーツ用品店
キャッシュレス決済比率は、約20%(7月から9月までの3カ月における平均)であったが、
10月はひと月で約40%となっている。高額商品が多いため、従来からクレジットカード利用者が多かった。10月以降、QRコード決済(売上金ベース)が、一定の割合を占めている(10月:7%、11月:14%、12月:8% )

【2】大阪府大阪市:写真店
10月より一部値上げに踏み切ったが、売上は10%強増加。ポイント還元への意識の強さが感じられた。ほとんど全てのキャッシュレス決済手段に対応しておいてよかった。QRコード決済の比率が高くなると予想していたが、実際は満遍なく利用されている。レジ周りのレイアウトを工夫したことで、オペレーションが改善され、業務を効率化することができた。
キャッシュレス決済の利用方法を理解しているお客様がほとんどで、質問などはなくスムーズに決済ができている。

【3】福岡県福岡市:小売業(ふとん)
キャッシュレス利用者は1回あたりの決済額が大きいので売上に効果がある。クレジットカード・電子マネーの比率が、 42%(9月)から52%(10月) に増加。・お客さんからQRコード決済の使い方の相談が多く寄せられ、店員が喜んで対応している。

【4】福島県いわき市:飲食業
インバウンド客に対する会計がスムーズになった。

【5】広島県廿日市市 宮島表参道商店街
商店街説明会をきっかけにQRコード決済を導入した。外国人はほぼクレジットカード払いで、1回の決済額が大きいため、端末を導入してよかった 。

【6】
愛知県安城市:小売店(食料品)
ポイント還元事業開始前は1日の利用者数は1桁だったが、 事業開始後は2桁に増加。年配客もQRコード決済を使う人が 増えた。釣銭用の両替のために、銀行へ行く頻度が減った。両替には手数料がかかるので、キャッシュレス決済利用者が増えることで、 週に1度の両替で十分になった。



キャッシュレス・ポイント還元事業の公式HPの資料には上記のような「現場の声」が寄せられています。導入に対する手数料やオペレーション変更の手間は発生しますが、それ以上にメリットを感じている店舗が多いようです。売上UP要因になること以外にも、インバウンド客に対する会計がスムーズになる、釣銭の準備が最小限になる…などの効果もあることがわかりました。

国が実施している「キャッシュレス・ポイント還元事業」の申し込みは2020年4月末が締め切りとなり、消費者に対する還元も6月で終了します。しかし、今後もキャッシュレス決済自体は普及していくことが考えられます。公式HPでは登録加盟店を地図で検索することもできますので、一度ご自分の地域のキャッシュレス決済導入店を調べてみるのも、市場調査のひとつになるのではないでしょうか。


【データ出展・参考】

キャッシュレス・消費者還元事業ホームページ
金沢商工会議所ホームページ

 

【あとがき】
今回で青木氏の連載は第3回目となりました。
全6回を予定していますので、ちょうど折り返し地点です。
これからも写真館・フォトグラファー目線のメルマガを配信していきますので、
ぜひ次月号もご覧ください。


 
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