2019年3月号

先月号から引き続き今井氏の「働き方」にフォーカスした
コラムの第2回目をお届けいたします。

先月号では雇用契約書を取り交わしましょうという内容でしたが、
今月号ではさらに雇用契約に関して「残業代」という
キーワードから深掘りして解説してくださっています。
知っておきたい「残業代」の考え方とは、
トラブルにならないためにもぜひご一読ください。
 
こんにちは。社会保険労務士法人アイプラスの代表社員の今井洋一です。近年「働き方改革」
という言葉がニュースや雑誌・新聞の紙面を賑わしていますが、これから6回にわたり
「働き方」(従業員定着・教育など店舗運営に欠かせない人材話)について、お話をしていきたいと思います。今回は経営者にとって頭の痛い悩みでもある残業代について考えてみましょう。
 
◆私がミスしてしまったことが原因の残業なので、残業代は要りません。
人件費が高騰しているこのご時世、労務費の上昇は、どの会社も悩ましい問題と思います。
しかも、理由が「仕事のミスを挽回するための残業」と聞くと、腹立たしい感情が芽生える
経営者の方も、少なからずいらっしゃると思います。そんな中、従業員より「今回の残業は、
私のミスが原因なので、残業代をいただく訳にはいきません。」という申し出があった場合、
会社としてどのように対応すればいいのでしょうか?
 
◆法律と雇用契約には優先順位がある。
本人が残業代の辞退を申し出ており、会社も残業代を払いたくないとなれば、労使の間で利害が一致しています。お互いに合意をしているなら、残業代を支払わなくても良さそうですが決してそうではありません。実は、雇用契約や法律には優先順位があり、今回の残業代の返上のように労使間で合意した内容であっても、労働基準法などの法律で強制されている内容については、
合意が認められません。
具体的な優先順位は、民法>労働基準法>労働協約>就業規則>個別の労働契約の順番となっており、上位の労働条件を下回る条件は締結することができません。ただし、残業の割増率を法律で決まっている25%を上回る50%とするというように上位の法令を上回る労働条件の場合は
認められます。
 
※「労働協約」とは労働組合が使用者と対等な立場で決めた取り決めですので、労働組合のある企業しか締結ができないものです。また、「労働協約」は残業をするために締結が必要となる「36協定」に代表されるような「労使協定」とは、名称が似ていますが、まったくの別のものになります。
 
ですので、今回のケースにあるように従業員から残業代の返上の申出があり労使で合意していたとしても、雇用契約よりも上位にある労働基準法で割増賃金の支給が求められていますので、
割増賃金を支払なければなりません。
 
 
◆無断の残業は、勝手に料理が出てくるようなもの
前回のコラムにも書きましたが、「働く」とは、使用者と労働者の間で「雇用契約」が成立している状態で、雇用契約とは使用者の指揮命令に従う代わりに賃金が支給される契約です。
指揮命令があることが前提ですので、指揮命令権者である上司の知らないところで勝手に残業
したとしても、指揮命令に応じた労働の対価である残業代の支払は発生しえません。
 
しかし、この点が難しいところで、本当に従業員が頼んでもいないのに勝手に残業をしていたのか、具体的な指揮命令をしてないが会社が残業を黙認していたのか判断がつきにくいもので、
未払い残業代のトラブルでも無断の残業なのか否かは、しばしば論点になります。
会社を守るためにも、万が一に備え、指揮命令にもとづいた残業なのか、そうでないのか
証明できるよう、残業は許可制とするのが得策です。制度を導入するにあたって
(1)就業規則に残業は申請制であることを明示する。(2)残業をする場合は、事前に
残業申請書を提出してもらい、事後に残業の内容と仕事の実績を確認する。(3)仕組みを
作ったら三日坊主とせず仕組みを継続させることをやっていきましょう。そうすることで、
万が一未払い残業代を請求されたとしても、残業は命令していないと客観的に反論できるようになります。
 
未払い残業代などのトラブルは「上司がきちんと見ていなかった」ことが原因であることも
少なくありません。経営者や管理職の立場の方であれば、部下の仕事を管理することも
大切な仕事になります。

 
今井 洋一氏
(社会保険労務士法人アイプラス 代表社員)

< プロフィール >
アクセンチュア株式会社、IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社、株式会社リクルートマネジメントソリューションズにて、人・組織をテーマにしたコンサルティングに従事したのち2009年10月に独立。お客様の目指す理想は何か?お客様の持ち味は何かを踏まえた評価・報酬制度等のコンサルティングサービスや労務相談サービスを提供している。
社会保険労務士法人アイプラスは「対話からの気づきをシンプルなアクションにつなぐ」を経営理念とし、人事のアウトソーシング事業、制度設計のコンサルティング、労務&コミュニケーション研修の三本柱でサービスを提供している。

社会保険労務士法人アイプラス:https://sr-iplus.co.jp/
写真館と数字分析  ~キャッシュレス化の波は写真業界にもとどくのか?~

電子マネー/電子決済という言葉が数年前から広がりはじめ、「Suica」や「ICOCA」などの交通系ICカードや「楽天Edy」、「WAON」などの支払い系電子マネー、また、「Apple Pay」や
「Google Pay」,「おサイフケータイ」などのスマートフォンアプリや「楽天Pay」「PayPay」「Line Pay」などのQRコードを利用したモバイル決済サービスなど「キャッシュレス」決済が
飛躍的に普及しはじめています。

平成28年総務省発表の家計消費状況調査によると、電子マネーの保有世帯率は約50%で、保有世帯は年々増加しています。しかし、キャッシュレス決済全体を見てみると2016年時点では
キャッシュレス決済比率は約20%で世界の先進国の中でも低い水準であり、日本政府は2025年までにキャッシュレス比率を40%までに、また将来的には80%まで高める方針を掲げています。

そこで今月の「写真館と数字分析」のコーナーでは今注目されているキャッシュレス決済について
の利用調査(引用)から、写真館での利用の可能性について分析してみたいと思います。

【キャッシュレス決済のメリットとは?】

まず、そもそもなぜキャッシュレス決済が注目を浴びているのかですが、簡易的にまとめると以下のことが挙げられます;
◆導入店のメリット
①レジ業務の簡素化により人手不足問題を抱える実店舗の省力化、
②現金資産の見える化、
③支払いデータの活用により消費の利便性向上

◆消費者のメリット;
①支払いの利便性向上
②ポイント等付加価値がつく(決済方法による)


日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」によるとキャッシュレス決済を利用する人で決済時に重視する内容として最も割合が高かったのは「ポイントや割引などの便益面」でした。昨今では決済方法でも消費者に対して価値を提案する事がニーズとして顕在化してきていると考えられます。
【キャッシュレス決済の利用で客単価はどうなる?】

日本クレジットカード協会が実施した調査によるとクレジットカードでの支払いは現金での支払いと比較するとく客単価が1.7倍高い傾向があることがわかりました。

写真館でお客様が商品のプラン(価格)を決める際、支払いを現金でするか、クレジットカードでするかでプラン内容が変わることを感じたことはないでしょうか?クレジットカードを始め,
キャッシュレス決済だと手元にある以上の金額を支払う傾向があるようです。
実際に1万円までの少額の買い物をする場合は現金を使う人の割合が高く、1万円以上からクレジットカードを利用する割合が多い調査結果があります。
写真館では少額だとDPEも兼ねる業態であれば1枚からの写真プリントや証明写真、また高額であればスタジオ撮影、アルバム/台紙販売といった価格帯があるかと思いますが、価格帯に応じたキャッシュレス決済方法により現金決済ではなかった価値(特典)をお客様へ提供できるかもしれません。
クレジットカードはもちろんのこと他のキャッシュレス決済で注目したいのは実は利用率が現状一番低いマホのQRコード決済です。QRコード決済は少額利用、高額利用ともに上昇していくであろうという見方もあります。理由としては実店舗と消費者へのメリットがクレジットカードよりも影響が大きいと考えられています。

◆実店舗へのメリット;
①導入ハードルが低い:クレジットカードや電子カード、またスマートフォンの接触型決済の
ように高額な専用機器が必要なく、QRコードを提示するタブレット端末などがあれば
導入できる。
②レジ業務の省力化
③手数料、運用費が比較的低コスト
④インバウンド需要にも対応可能(お客様側は海外でも使える)

◆お客様へのメリット
①スマートフォンの機種に依存しない
②ポイントなどの特典がもらえる(QR決済提供サービスによる)。

これらのメリットによりますますキャッシュレス化の波は大きくなり市場規模も拡大する見込みです。QRコード決済の市場規模は6千億円程度で、2023年度には8兆円とも推計されてます。東京五輪のインバウンド需要や政府の後押しもあり、市場は拡大するようです。キャッシュレス決済の用途はまだ交通期間やコンビニ、
スーパーマーケット、飲食店など生活に必需なところでの広がりではありますが、写真館や
出張撮影でもQRコード決済のように新しい決済方法の利点を活かせればより多くのお客様に
時代にあった利便性をお届けできるのではないでしょうか。

【データ出典・参考】

・総務省:家計消費状況調査(平成28年)
・日本銀行 決済機構局
・日本クレジットカード協会
【あとがき】

第二回目のコラム、いかがでしたでしょうか?
「残業代」という誰にでも関係する大きな課題でしたが
必要な残業とそうでない残業、一度自社内で定義を
議論するきっかけになればと思います。

4月号にもぜひご期待下さい!

 
メルマガバックナンバー
Facebook
YouTube
Instagram

●このメールマガジンは、弊社発注ソフトPPMをご利用いただいているお客さまに送信しています。
ご不要の場合はお手数ですが、 こちらのフォームにて配信停止をお願いいたします。
●本メールはHTML形式で配信しております。正しく表示されない場合は こちらから

●このメールは送信専用のため、ご返信いただきましても、対応できません。
お問い合わせはこちらよりお願いいたします。